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英雄 HERO(映画)

英雄 HERO

これまでもいくつかの映画で描かれている始皇帝暗殺をめぐる物語ですが、ファンタジー色の強い本作では舞台設定やビジュアル面での時代は特定せず、気持ちいいぐらいにイマジネーションの風呂敷を広げてくれています。ここで登場する始皇帝は暴君ではなく、厳しいながらも侠気ある人物として描かれていて、ここが物語の展開を紡ぐポイントになってきます。

チャン・イーモウ監督の作品は好きなんですけど、本作は当時なぜかあまり食指が動かなかったんですよね。なんというか、「メジャー感がありすぎて違うかな」と。
自分にとってチャン・イーモウ監督作品というと、『秋菊の物語』だったり『紅夢』だったり『菊豆』だったりするので、こういう「恐れ入ったか!ドッカーン!」と迫る大作って違和感バリバリだったんですよね。コン・リー成分も少ないですし、チャン・ツィイーには、まだ馴染んでなかったですし。そんな諸々の理由で劇場公開時は見送ってしまったんですよね。
ほぼ同時期に、アン・リー監督も『グリーン・デスティニー』を撮った訳ですが、当時は文芸派監督が武侠アクションに進出するのを不思議な思いで眺めていました。

だけど、よくよく考えたら映画監督というのは“映画オタク”な訳で、そういう種類の中国人がカタルシスを感じるのは、やっぱり武侠映画のファンタジー世界なんでしょうね!インタビューやコメンタリーでも事ある毎に、両監督とも公言してますから。実は日本で言うアニメファンに一番近い人種なのかもしれません。武侠物なんて、ドラゴンボール的発想のルーツみたいなもんですしね~。
そう考えると「監督の夢の結実ってどんな映画なんだろう?」と興味が湧いて来て、この映画を見たくなってきました。

で、実際見てみると…

チャン・-イーモウ監督って文芸寄りの作品ばかりだったので、こういう娯楽大作はどうかと思ったんですが。きちんと今時の娯楽大作のフォーマットに則って映画が仕上がっていて、「こんな器用な監督だったんだ~!」と思うと同時に(なんとなく「不器用な男ですから」風の雰囲気じゃないですかw)、職人的腕前に感銘を受けました。

テーマとしているのは、“知己”とか武侠の“”の部分とか、刺客でありながら唯一秦の皇帝と意志を通わせることとなる男・「無名(ジェット・リー)」、そして無名を支えるために命を投げ出す武侠者達。互いに相手を敬いながら散ってゆくという部分は、日本人としても琴線にウルウルと触れますねぇ。西洋人の観客には、この“他我”のあり方が強烈に東洋的なものとして写ったんじゃないかな?

企画立ち上げは本作の方が早かったそうですが、製作段階で先行されてしまったアン・リー監督の「グリーン・デスティニー」を相当意識していたようです。そちらとの差別化という意味でも、このテーマ選択はチャン・イーモウ作品らしくて良かったと思いますね~。包み込むような心理劇の「グリーン~」に対して、対峙する者達の邂逅と別れを描いた本作は、監督が言うように男性的で力強いですね。アプローチの違いがはっきりとしていて、それぞれの良さが引き立っていると思います。

剣の無名(ジェット・リー)と、槍の長空(ドニー・イェン)による静かなる空中戦は圧巻ですね、この拮抗した戦いとお互いキワで相手の攻撃をかわす緊迫感は鳥肌モンです!いいもの見せて頂きました。飛雪(マギー・チャン)の舞うような剣は美しいですし、如月を演じるチャン・ツィイーも更に成長しているなぁ。残剣(トニーレオン)との水上戦は幻想的で、景色の中に吸い込まれそう!

また、タン・ドゥンの音楽が、とても印象に残る映画でもあります。サントラは聴き応えありますよ!東洋絵画的なアクションシーンや、色彩的な情感豊かな風景をバックにして、この辺りもまた普通の武侠映画とは違う、チャン・イーモウ的な切り口を感じさせるものがあるかと思います。「グリーン~」と同じタン・ドゥンということで、音楽の方向性がカブっているんじゃないかと危惧したんですが、心情的な前者に対して世界観の描写を中心にしたこちらは、音楽も漢っぽいですねぇ。この対比も面白いです。

本作はメイキングDVDもリリースされているんですが、こちらで映し出される映画制作のドラマは、まさしく過去のチャン・イーモウ映画にあるような人間ドラマの世界です。本編も面白いですけど、こっちも別のベクトルで面白いですのでまた機会があればレビューを書きたいと思います。他には、「あの子を探して」のメイキングも良いんですよね。

HERO @ 映画生活

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テーマ : 武侠映画 - ジャンル : 映画

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